「お菓子づくりが大好き」という子どもの頃からの気持ちをずっと持ち続け、大学卒業後に鹿児島随一のホテル「SHIROYAMA HOTEL kagoshima」のパティシエとして夢をカタチにした二ノ宮美周さん。彼女がつくるデザートを食べたら、ホテルを訪れたみんなが笑顔でハッピーになる!と感じさせてくれる素敵な女性だ。学生時代は陸上競技に打ち込んだ。目標達成に向けて毎日陸上のつらい練習にストイックに向き合ってきたごとく、ホテル入社後も人知れずずっと努力を続けてきたのだと思う。将来の夢は自分の店を持つこと。物静かで穏やかなやさしさの中に、芯の強さを感じられた。

鹿屋体育大学22735

にのみや・みちか(旧姓・岸良)。1994(平成6)年8月21日、鹿児島県さつま町(旧宮之城)生まれ。神村学園高等部から鹿屋体育大学スポーツ総合課程に進学、2017年3月卒業。同年、城山観光株式会社に入社。ホテルの洋食調理部製菓調理グループに所属し、パティシエとして活躍中。

―学生時代は陸上競技部だったと伺っています。陸上を始めたきっかけは?

二ノ宮 小学校5~6年生のときに地域の陸上記録会があって、800メートルで2年連続1位になり、走るのが楽しいなと思うようになりました。姉が宮之城中学校の陸上部で、監督も顔見知りだったこともあり、中学から陸上をやってみようと思って始めました。

―鹿屋体育大学に進学したのは?

二ノ宮 高校で陸上をやめる、という選択肢もあったのですが、高校の時に思うような成績を残
すことができなかったので、このままではやめたくないと思いました。高校生の時から(鹿屋体育大学の)松村勲先生のことも知っていましたし、400メートル全天候型の陸上競技場など、陸上をする環境がものすごく整っている県内の大学ということで進学しました。

―学生時代の1番の思い出は?

二ノ宮 学生時代で1番陸上の成績がよかったのが、日本インカレ女子1500メートルで9位だったんですね。8番を走っていたのでこのままいけば入賞できると思っていたのですが、最後で抜かれてしまって、詰めが甘かったです(笑)。一緒にインカレに出場した大学の陸上競技部のみんながものすごく応援してくれて、入賞は逃しましたが、今振り返ってもいい経験だったと思います。大学で陸上はやめると決めていたので、自分の中ではやり切ったと思っています。

―母校にはどんな印象を持っていますか?

二ノ宮 自然が豊かで、都会じゃないところが好きですね。大学の敷地内にある施設はすごいんですけど、郊外にある大学なので周りには本当に何もないじゃないですか。そんな環境だからこそなのかもしれませんが、トップレベルのアスリートをたくさん輩出できているというのはすごいと思います。昨年の10月、久しぶりに大学に行きました。今後もせめて年に1回は、松村先生を訪ねて陸上競技場に顔を出せたらと思っています。

―ところで、小さい頃からパティシエになるのが夢だったそうですね。

二ノ宮 母が管理栄養士ということもあり、子どもの頃から料理やお菓子作りの手伝いをするのが大好きでした。栄養学に興味があったので、大学ではゼミもスポーツ栄養学を選択しました。ただ、大学までは陸上をちゃんとやろうと思っていましたし、お菓子を作ったとしても陸上競技部に所属していたので体重制限があって食べることはできなかったので、実際はホテルに入社して仕事をしながらパティシエとしての勉強を始めました。

―就職先としてホテルを選んだのは?

二ノ宮 街のケーキ屋さんのような洋菓子店のパティシエだとケーキ作りが中心になりますが、ホテルだと結婚式や宴会の最後に出るデザートなど、ホテルならではのデザート作りにも関わることができると思ったからです。入社して間もない頃は、お土産として人気のジャムも作っていました。今はホテル内のレストラン「ザ ラウンジ カサブランカ」で出しているひと口サイズのチョコレート、ボンボンショコラをつくったりもしています。

―今後の夢は?

二ノ宮 最終的にはパン職人の夫と一緒に、自分たちのお店を持てたらと思っています。

―最後に後輩たちにアドバイスをお願いします。

二ノ宮 「スポーツしていたのに、何でパティシエ?」ってこれまで本当にたくさんの人に聞かれました。周りの卒業生も教員や警察官、自衛官になっている人が多いので、私は卒業生の中では珍しいタイプなのだと思います。これまで例がないことをするって、勇気が要ると思うんです。私自身、ホテルに入社して周りの同期は専門学校を出てある程度パティシエとしての知識がある人ばかりだったので、引け目を感じることもけっこうありました。最初の頃はこんな状態で今から働いていけるのかと悩んだり、頑張って3年、すぐに辞めるんじゃないかと思っていたんですけど、陸上競技を通して培ってきたことがまったく違う業種でも生かせているこ
とがすごくたくさんあって、メンタル的にも強くてへこたれないんですよ。あっという間に6年
目で、いつの間にか職場のパティシエとしては上の立場になりました。
実際にやってみたら意外と自分に合っていたとか、思っていた以上にポテンシャルが高かったり、これまでは競技のことばかりしていたけれど、自分にはこういうこともできるんだ、といった新しい発見につながることもあると思います。やりたいことがあるんだったら、みなさんもぜひ挑戦してほしいと思います。

(取材・文/西 みやび)

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