このたび、本学の叢瑋(ソウ イ)さん(体育学研究科体育学専攻修士課程2年)が、日本スポーツ産業学会において開催された「リサーチカンファレンス2023」において日本スポーツ産業学会奨励賞を受賞しました。リサーチカンファレンスは、専門学校生や大学生等が自身の研究分野について発表し、その学術性と新規性を競い合うもので、全体発表者17名から選ばれました。
叢さんの受賞した研究内容は「ホームファンの感情が行動意図に及ぼす影響:B 3リーグのアリーナ観戦者に着目して」と題し、日本プロバスケットボールリーグ3部リーグ(B3リーグ)のアリーナ観戦者のうち、ホームファンを対象に、これまでのアリーナ観戦で経験したことのある感情が行動意図(クラブ支援意図、再観戦意図)に及ぼす影響を明らかにすることを目的としたものです。
スポーツマーケティング研究としては従来から、感情、ファンコミュニティID、チームID、地域愛着などの変数各々が、行動意図に有意な正の影響を及ぼしていることは多数確認されてきていましたが、今回叢さんは、行動意図を予測する同一のモデルの中に、感情、ファンコミュニティID、チームID、地域愛着を全て含め、同時に分析を行いました。全ての変数を含めたことからより包括的で実用性の高い行動意図の予測モデルが立てられ、プロスポーツにおける観戦者数増加の一助となる研究発表として評価されました。
学位記授与式の行われた令和5年3月24日、叢瑋さんは指導教員の北村尚浩教授、副指導教員の隅野美砂輝准教授とともに学長報告を行いました。金久博昭学長からは「修士課程修了と奨励賞の受賞おめでとうございます。優れた発表内容だと思いますので、是非次のステップとして論文化に挑戦してください。鹿屋体育大学の学部と修士課程で学んだ6年間を土台にし、益々研究に勤しんで博士論文につなげてください。活躍を期待しています」とお祝いと激励のメッセージが贈られました。叢さんは「研究内容もカンファレンスでの発表も大きなチャレンジでしたが、良い評価をいただけて大変うれしく思います。鹿屋で学んだ経験を活かして、博士課程での研究活動に邁進したいと思います」と喜びと今後に向けての決意を語りました。
※ID アイデンティフィケーション

左から隅野准教授、金久学長、叢さん、北村教授

令和5年3月24日(金)、水野講堂にて卒業証書・学位記授与式を挙行しました。
本年度、卒業証書及び学位記を授与されたのは、体育学部スポーツ総合課程卒業生141名、武道課程47名の合計188名、大学院修了生16名及び大学院論文博士取得者1名の合計205名です。新型コロナウイルス感染症感染拡大防止のため、列席者の制限、検温や消毒などの対策を徹底した中で行われました。
式では、金久博昭学長が「本日ここに、卒業証書授与式および学位記授与式を迎えられましたことを、心からお喜び申し上げます。この日を迎えるにあたり、卒業生および修了生の皆さんは、ご家族の方々をはじめとする、多くの皆様の慈愛あふれるご支援があったことを、感謝の気持ちをもって改めて思い起こしてください。新天地において、本学で得た知識やスポーツ実践のノウハウを十分に活かし、スポーツの力で、社会の活性化に貢献されることを期待します」と告辞を述べました。
続いて、一昨年度、昨年度に引き続き、今年度も室伏広治スポーツ庁長官ご本人からのビデオメッセージによる祝辞をいただきました。メッセージの内容は「みなさんは、学生生活の半分以上の期間を新型コロナウイルス感染症の流行のなかで過ごされ、部活動、就職活動にも大きな影響を受けたと思います。そのなかでも、挑戦することを諦めず、スポーツを通じて何ができるのかを真剣に考えてきたことは、自分自身だけではなく、多くの人々の心身共に健康で充実した生活に寄与していくでしょう」と、制約された学生生活の中でも活動を続けてきた卒業生へ、祝福と激励の言葉が盛り込まれたものでした。
在学生送辞では、体育会会長の今井公暉さん(スポーツ総合課程:2年)から「先輩方は常に私たちの先頭に立って、リーダーシップを発揮してくださいました。今日まで私たちを導いてくださいましたことに感謝の気持ちでいっぱいです。これからは私たちが鹿屋体育大学の伝統を受け継ぎ、さらなる飛躍を目指して、在学生一同、尽力して参ります」と力強い言葉が述べられました。
卒業証書・学位記取得者答辞では、長谷川毅さん(同課程:4年)から「この4年間は、学年が上がったり、部活動の大会などで大舞台に立つにつれ、プレッシャーや使命感に押しつぶされそうになったこともありました。しかし、そんな苦しい中、常に心の支えとなっていたのは、両親、先生方、そして部員たちでした。本当に感謝しています。この鹿屋体育大学で培ってきた経験をもとに、各分野で貢献できる人材になることを目指し精進して参ります」と感謝と決意が述べられました。

学長告辞

室伏長官からのビデオメッセージ

卒業証書・学位記授与の様子
左)瀨底 かすみさん(スポーツ総合課程:4年)
右)小野澤 暢大さん(武道課程:4年)

左)在学生送辞を述べる今井さん
右)卒業証書・学位記取得者答辞を述べる長谷川さん
会場の様子


令和5年3月21、22日の2日間、東洋大学陸上競技部所属の栁田大輝選手、成島陽紀選手及び和田遼選手がスポーツパフォーマンス研究センターでの測定に訪れました。本測定は、本学の髙井洋平准教授(スポーツ生命科学系)と東洋大学の土江寛裕教授(1996年、2004年オリンピアン)の共同研究により実施されたものです。
当日は通常時の走行のほか、牽引装置を用いて抵抗をかけた走行を行い、50mフォースプレート及びモーションキャプチャーで走行時の床反力と動作に関するデータを測定していました。
土江教授からは「ここでしか実現できない、実践と同じ環境での測定データが得られるのがスポーツパフォーマンス研究センターの強みであり、とても興味深いデータが得られています。恩師の福永哲夫先生(本学元学長)とは、センターが設置される前に『実践に近い状態での測定ができる施設があると良い』という会話をしたことがありました。その構想が実現する形となり、とてもうれしく思います」とのコメントがあり、充実した測定を行えたことが伺えました。
是非、またのお越しをお待ちしております!


測定の様子

締結式の一場面
このたび本学を含む九州・沖縄地区の国立大学法人11大学は、令和5年3月21日、「国立大学法人における研究力向上の連携に関する覚書」を締結しました。
国立大学法人の運営費交付金が削減される中、これまで以上に各大学が持つ高度な実験機器や設備、研究に関するデータ等を有効活用しやすい環境を整えるもので、「九州・沖縄オープンユニバーシティ」として九州大学を中心に今後構築されていくものです。
本学は、スポーツパフォーマンス研究センターに保有するフォースプレートやモーションキャプチャー、及びスポーツトレーニング教育研究センターのトレーニング環境シミュレータ等をはじめとする高度な測定機器・設備を保有している国立大学唯一の体育大学。締結式に臨んだ前田明理事・副学長は「本学はスポーツに特化した大学であり、得意分野が他大学からわかりやすいと思います。スポーツはいろんな可能性があり、他大学の異分野との連携した研究が行えるのが楽しみです」と、スポーツ界のみならず各分野の研究の発展に寄与できる可能性が広がるこの取組へ抱負を述べました。
◆鹿屋体育大学「学内共同教育研究施設等」のご紹介
https://www.nifs-k.ac.jp/outline/cer/
◇スポーツパフォーマンス研究センター
Sports Performance Research Center (nifs-k.ac.jp)
◇スポーツトレーニング教育研究センター
https://www.nifs-k.ac.jp/outline/cer/training/
令和5年3月14日、令和4年度学生挑戦プロジェクト成果報告会が対面とオンライン会議方式を併用して開催され、45名が参加しました。
平成28年度より実施している学生挑戦プロジェクトは、学生の自主性、企画力、創造性を養うとともに、キャンパスライフの充実・活性化を図ることを目的として、学生が実現したいプロジェクトに対して必要な支援を行うものです。全学生から募集し、今年度は審査の結果、2件が趣旨等にそった優秀なプロジェクトとして採択され、各々が“挑戦”してきました。
沼田真帆さん(スポーツ総合課程3年)は、バレーボール競技におけるプロの選手サポートとして、4つの社会人チームのトレーナーの現場を体験してきたことを報告しました。プロの現場にはトレーナーが数名配置されており、分野(メディカル、ストレングス)ごとに、より専門的なケアや指導が日々細やかに行われていること、本学のバレーボール部でも活用しているデバイスが、チームによって違った角度で活用されていることを発見するなど等様々なことについて身をもって体感し、プロのトレーナーの経験と知識の豊富さに驚いたとのことでした。そして、この経験が自身の将来の目標をより強固なものとし、挑戦後にはより経験を積むために、トレーニングジムでのアルバイトを始めたことが報告されました。
棚田恭平さん(スポーツ国際開発学共同専攻修士課程1年)は、野口慎平さん(同)と藤谷雄平さん(体育学専攻博士後期課程3年)と一緒に「SDGs達成に寄与できる鹿屋体育大学生育成プロジェクト」について、スポーツを通したSDGs目標3の「すべての人に健康と福祉を」に着眼し取り組んだことを報告しました。訪問調査させていただいた団体の活動を通し、子どもの貧困問題について、衣食住の問題への関心は高いがスポーツ分野への関心は低く、さらに広がる格差の要因と課題の深さ・大きさを実感したこと、そして今回プロジェクト内で行った本学学生への意識調査アンケート回答者数もかなり少数であり、まずは学生への意識付けや興味を持ってもらうための取り組みを継続していく必要があること等が報告されました。
いずれの発表も質疑応答が活発におこなわれる充実した成果報告会となりました。学生挑戦プロジェクトは、来年度も引き続き募集される予定ですので、学生のみなさま、是非応募してみてはいかがでしょうか?

左)開会のあいさつをする前阪茂樹学長補佐(学生支援担当)
右)会場からの質問の様子

左)発表者の沼田さん
右)発表者の棚田さん