日本で唯一の国立体育大学

国立大学法人 鹿屋体育大学 KANOYA

スポーツ・武道実践科学系 小崎 亮輔

小崎先生の写真

「夢は柔道着を持って世界一周」。着任の挨拶に記されたインパクトのある言葉が、強烈な印象として記憶に残っている。“柔道”という共通の武道があれば、たとえ言葉は通じなくても、自由に技を掛け合う乱取りをするだけで仲良くなれた小崎先生の経験から生まれた言葉だ。話をしているとくったくのない笑顔に吸い込まれそうになり、国境を越えて人を惹きつける魅力を感じる。「チャンスはつかむためにある」と信じて、前へ前へと進んできた。着任して半年。早くも鹿屋の地になじみ、研究と柔道、趣味に精を出す日々を送る。

小崎先生の研究内容を高校生向けにひとことで教えてください。

小崎 障がい者柔道が主な研究テーマですが、その中でも自閉症など発達障がいのある子どもが自立した生活をするための支援、療育・療法について研究しています。

小崎先生は柔道5段で柔道部のコーチでもいらっしゃいます。東京オリンピックでは五輪柔道史上最多の金メダル9個を獲得するなど快挙を見せた一方で、柔道の人気がなくなってきているとも聞きます。

小崎 理由のひとつとして柔道は楽しめるレベルに到達するまでの道のりが長い、ということが挙げられると思います。たとえばサッカー部だと、部活が休みの日も「サッカーしようぜ!」っていう感覚の子が多い印象があるんですよ。でも柔道部は気軽に練習できる場所が少ないことが理由かもしれませんが、部活が休みの日に「柔道をしようぜ!」ってなかなかならないんじゃないかと思います。柔道は他のスポーツに比べると娯楽性が乏しいのかもしれません。しかし、その一方で柔道はマスターズ大会が盛んで、高齢者の方も参加して活躍されています。柔道人口が減少傾向にあるならば、始めた人をずっと続けさせて価値を見せていくことが重要だと私自身は感じています。

小崎先生はこの4月に本学に着任されたばかりですが、鹿屋の印象は?

小崎 バーベキューとキャンプ、下手ですがサーフィンも好きなので、自然が豊かで「鹿屋最高!」と思っています。もっとも都会に住んでいたからこそ感じるのかもしれません。鹿屋は地元の焼酎もとても美味しくて、今後の開拓が楽しみです。

学生に望むことは?

小崎 本学の場合、全国で唯一の国立の体育系大学ということもあり、目的なく入ってくる学生はいないと思うんですね。入学した時に抱いた向上心とエリート意識を大事に、ときめきとわくわくをなくさないで4年間を過ごしてほしいです。

小崎先生はNPO法人judo3.0も運営されていらっしゃいます。これまでどんな活動を?

小崎 柔道を通した国際交流や指導者交流などを行ってきました。

柔道着を持って世界中を周るのが夢だそうですが。

小崎 現実的には休みをそんなに取ることは不可能なので、私がこの大学に入ったひとつの役割として、海外の方々を鹿屋に招いてさまざまなイベントを開催し、大学と地域連携の一環としてここ鹿屋の地で武道ツーリズムを確立させられたらと思っています。

(取材・文/西 みやび)

※所属およびインタビュー内容は、取材当時のものです。