日本で唯一の国立体育大学

国立大学法人 鹿屋体育大学 KANOYA

スポーツ・武道実践科学系 小澤 雄二

小澤先生の写真

律儀でまじめな雰囲気が漂う。小澤先生と話していたら、武道の精神として大事にされている「礼に始まり、礼に終わる」の言葉が浮かんだ。柔道の魅力、面白さは「勝負」にあると言い切る。目の前の対戦者と1対1で向き合い、勝つことに自己のすべてを賭け、寡黙にコツコツと努力を続けてきた自身の経験から生まれた“2文字”なのだと思う。4度のチャンピオンの経験があるもオリンピックには届かず、「敗北感しかない」と振り返った。まさに驕(おご)らず、昂(たかぶ)らず。小澤先生を部長兼顧問に、3人の指導者がそろう柔道部のこれからにも目が離せない。

小澤先生の研究内容を高校生向けにひとことで教えてください。

小澤 「柔道」です。たとえば指導法やトレーニングに関する研究など、柔道に関連するすべてを多方面から見たり考えたりすることが、柔道方法学や柔道コーチングにつながるという思いで研究を続けています。

小澤先生は柔道八段でいらっしゃいますが、柔道を始めたきっかけは?

小澤 父親が昭和30年代に鯉ノ勢(こいのせ)という四股名(しこな)で朝日山部屋に所属している大相撲力士でした。廃業してからは故郷の愛媛県に戻り、家業のタオル工場を継ぎましたが、男の子には相撲か柔道を習わせたいという父の意向があったと思います。本格的に始めたのは小学校4年生の終わりぐらいからですが、見事にハマってしまったという感じです。

鹿屋体育大学の学生に望むことは?

小澤 体育大の学生は、自分の進路についてやりたいことをある程度は決めて入ってくる人が多い。夢実現に向けて信念を持って突き進んでほしいです。もっとも卒業生の就職先は多岐にわたっていますので、入ってきてから軌道修正があってもいい。大学で学んだことはその後の人生に生きてくるので、何事もまずは自分の頭でしっかり考えて判断し、行動してほしいです。

ハンガリー、フランス、フィンランド、西ドイツの4つの国際柔道大会で優勝という輝かしい経歴をお持ちですが、柔道を辞めたいと思ったことは?

小澤 競技をやっていたときは1度もなかったです。指導者になってからは向いていないんじゃないかと思ったことは幾度かありましたが、落ち込んでいるときに不思議と卒業生が連絡をくれるなどプラスの働きかけがあり、ここまできました。

小澤先生にとって本学はどのように映っていますか。

小澤 一人ひとりの顔が見える大学だと思います。また、体育・研究施設ともにこれだけの施設がそろっている大学はほかにはないと思うので、自分の意思があれば力を発揮しやすい環境が整っていると思います。

2021年度九州学生柔道体重別選手権大会では男子が60kg級から100kg超級まですべての階級で1位を獲得するなど、柔道部の活躍が著しいです。

小澤 この2年間、コロナでほぼすべての大会が中止になって力を試すことができませんでした。これまで練習してきたことを今後の試合で発揮してくれればと思っています。

(取材・文/西 みやび)

※所属およびインタビュー内容は、取材当時のものです。