グランドプリンスホテル広島総支配人
平瀬 春男さん

ひらせ・はるお。1969(昭和44)年4月生まれ。山口県長門市出身。山口県立大津高等学校(現大津緑洋高校)から1988年4月、鹿屋体育大学体育学部体育・スポーツ課程に入学。1992年3月卒業。同年4月、当時西武鉄道他の親会社で観光業を手掛けていたコクドに入社し、万座プリンスホテル(群馬県)に配属される。ベルボーイやフロント担当として4年間勤務した後、本社宣伝部で10年間、プリンスホテルの企画部門でブランディングの再構築や事業再編に携わる。開発から携わった中国吉林省の松花湖プリンスホテル総支配人を約1年経て、本社法人営業部長に就任。2018年から現職。
「外国人対応、ネットワーク、人脈など、鹿屋での学生生活4年間のすべてが、現在の職業に生きている」と話す。G7広島サミット2023メイン会場として、一躍有名になった「グランドプリンスホテル広島」の総支配人を務めるのが、最高の滞在価値を提供するために、緻密な戦略と的確な戦術を積み重ねてきた5期生の平瀬春男さんだ。客室の目の前には瀬戸内海の絶景が広がり、レストラン、クラブラウンジ、天然温泉など、充実した施設が“滞在を愉しむホテル”としての魅力を形づくっている。揺るぎない信念で、ホテルと地域観光全体をつなぐ観光プロデューサー的役割も果たす。取材を通し、平瀬さん自身が「また帰ってきたい」と思わせる、ホテルの空気そのものを体現しているのだと気づいた。
なぜ、鹿屋体育大学へ?
平瀬 もともとは体育の先生を目指していました。中学ではバレーボール部に所属し、山口県でベスト3にも入れ、高校もバレーボールで進学するつもりでした。しかし、中学の先生から「ケガをしたら先がなくなる」と助言を受け、そこから勉強に励んで進学校の大津高校に入りました。ラグビーの強豪校だったこともあり、やるからには高いレベルに挑戦したいと自ら希望してラグビー部に入部し、念願の花園にも出場できました。大学は国立大学で体育を学ぶなら筑波大学か鹿屋体育大学の選択肢しかなく、出身高校からの進学者がいない新しい大学に魅力を感じて鹿屋を選びました。
学生時代で最も印象に残っていることは?
平瀬 フランス・アルベールビル五輪の前年にあたる1991年(大学3年生)にフランスで開催された五輪関連の国際スポーツ交流イベントに約2週間参加したことです。当時、スポーツ社会学、体育経営管理学の池田勝教授のゼミでゼミ長を務めていたこともあり、全国の体育系大学から選ばれた学生の一員として現地を訪問し、世界各国の学生とビーチバレーやスキー、登山などを通じて交流しました。この経験は、オリンピック運営やスポーツマネジメント、国際スポーツ交流について学ぶ貴重な機会になったと思います。二十歳になった大学2年生の時にアルバイトで貯めたお金で初めてアメリカを訪れたことや、桜島の火山灰がひどくてゴーグルをかけてラグビーの練習に励んだことも懐かしい思い出です。
就職先にコクドを選んだのは?
平瀬 当時日本オリンピック委員会(JOC)の委員長を務めていた堤義明氏が、コクドの代表取締役会長でオーナーだったんです。アルベールビルでの国際交流体験が忘れられず、この会社に入ればオリンピックに絡んだ仕事ができるのではないかという想いがあったのですが、結局オリンピックの夢は叶わずでした。ホテルの知識は何もなくての入社でしたが、配属先でいろいろ貴重な経験をさせてもらって、ありがたかったと感謝しています。
平瀬さんが考える鹿屋体育大学の魅力は?
平瀬 こぢんまりとしていて、人間関係が濃いところだと思います。何もない環境だからこそ、何かやってやろうという思いが生まれてきます。学生時代は寮に住んでいたのですが、先輩後輩の垣根を越えて親しくさせてもらいました。先生も含めて距離が近いことも魅力だと思います。
総支配人が考えるグランドプリンスホテル広島の魅力について、教えてください。
平瀬 いちばんは、瀬戸内海に面したロケーションです。宮島や原爆ドームへのアクセスも良好で、ホテル内には天然温泉、スパ、プール、和・洋・中のレストランがあります。景色を眺めてのんびりしたい、そんなお客様に長期滞在していただけたらと思っています。
GWや夏休みには花火大会もあり、企画が充実しています。
平瀬 うちのホテルでしかできないことをやろうということを常々発信していると、従業員からいろいろなアイデアが出てきます。週末にプリンスに行けば、必ず何かしらのイベントをやっているよねって言ってもらえるホテルを目指しています。
総支配人が大切にしている座右の銘や言葉があれば。
平瀬 「一期一会」と「感謝」という言葉です。もしかしたら最初で最後の出会いになるかもしれないご縁を大切に、常に感謝の気持ちを忘れないで接することを心掛けています。
最後に後輩たちへメッセージをお願いします。
平瀬 何かを成し遂げるには時間がかかりますが、スポーツでもそれ以外でも、まずはプロフェッショナルを目指してほしいです。努力を続けていれば必ず誰かが見てくれており、認められることで良い流れが生まれます。そのサイクルを自らつくり出せるよう、常に挑戦し続け、自分の可能性を広げていってほしいと思います。
また、環境が変わらないとなかなか新しい発見や発想は生まれにくいので、若いうちに海外も含めてさまざまな場所に足を運び、多様な価値観や考え方に触れてほしいと思います。その経験は必ず将来の糧になり、振り返ったときに大きな気づきや成長を実感できるはずです。鹿屋体育大学には全国各地から多様な仲間が集まってきています。日頃のコミュニケーションを大切にしながら、自ら積極的に人の輪に飛び込んでください。そうして築いた人脈は、きっと大きな財産になるはずです。
※所属およびインタビュー内容は、取材当時のものです。