熊本学園大学 社会福祉学部
ライフ・ウェルネス学科 教授
髙橋 恭平さん

たかはし・きょうへい。昭和56(1981)年8月18日生まれ。鹿児島県鹿屋市出身。鹿児島県立鹿屋高等学校から、鹿屋体育大学に進学。平成16年3月、体育・スポーツ課程卒業。平成22年、九州工業大学大学院生命体工学研究科修了。博士(学術)。国立スポーツ科学センター研究員、熊本高等専門学校助教、鹿児島大学共通教育センター助教を経て、2022年4月~熊本学園大学社会学部講師、2023年~准教授、2026年~現職。陸上競技部監督。日本オリンピック委員会強化スタッフ、日本陸上競技連盟科学委員会委員も務める。
好きな言葉は、西郷隆盛が座右の銘としたことで知られる「敬天愛人」。熊本学園大学の髙橋恭平さんの研究室には、南洲翁のひ孫で陶芸家の西郷隆文氏が手掛けた皿が飾られている。地元鹿屋高校から、鹿屋体育大学へ。スポーツマンらしいさわやかな風貌から、薩摩隼人の誠実でまじめな人柄が伝わってきた。大学院で学問と研究の面白さに目覚め、「これが仕事になったら幸せ」と思った夢を現実に変えた努力家でもある。学生時代に陸上競技部の主将として競技に打ち込んだ情熱を礎に、熊本学園大学陸上競技部の監督としても多忙な日々を送る。ほのぼのとした雰囲気が親しみやすく、“親身に相談に乗ってもらえる先生”と、学生からの信頼も厚い。
陸上競技はいつから始めたのですか?
髙橋 中学から始めました。でも特別に足が速かったわけではありません。
鹿屋体育大学に進学したのは?
髙橋 将来は保健体育の教員になりたいと考えていたので、教員免許を取得できる点がまず大きな理由でした。競技を続ける上で、全天候型のトラックを日常的に使用できる恵まれた環境があったことも決め手のひとつです。
どんな学生生活でしたか。
髙橋 陸上競技部では短距離ブロックに所属し、4年生の時には主将を務めました。九州インカレで目標としていた男子総合優勝を達成できたことが、最も印象に残っています。大学2年生の時に日本インカレで7位、西日本インカレでは3位に入賞しました。一方、友人と星空日本一と言われる輝北町へドライブに出かけるなど、競技と遊びに全力で取り組んだ4年間でした。
大学院に進もうと思ったのは?
髙橋 卒業論文の執筆で苦労したのが大きなきっかけです。論文を書く中で、自分の専門性や学びの浅さを痛感すると同時に、保健体育の教員になりたいという思いの背景に、陸上競技の指導をしたいという気持ちが強かったことにも気が付きました。このまま教壇に立つよりも、まずは専門性をしっかり身に付けたいと考え、大学院で学び直す決断をしました。
大学教員を志したのは?
髙橋 大学院時代の研究経験です。自分の興味のあるテーマについて先行研究を読み込み、実験を通して新しい知見に出合い、それを学会で発表して他の研究者と議論する過程がとても楽しく感じられました。研究を進めるために英語論文を読む必要があり、苦手だった英語もいつのまにか自発的に学ぶようになっていました。研究の面白さや学び続ける姿勢を、教育を通して次の世代に伝えられる仕事がしたいと思ったことが理由です。
専門分野と研究内容について教えてください。
髙橋 専門は神経生理学です。現在は加齢に伴って低下する自律神経機能に着目し、運動や生活習慣の工夫によってその機能を維持・向上できる可能性について研究しています。
大学教員として心得ていることがあれば。
髙橋 大学における教育や研究は生きた営みですので、目の前で起こる現象を都合よく解釈せず、客観的な事実の把握に努め、常に謙虚である姿勢を大切にしています。また、学生教育においては、学生一人ひとりの背景や可能性に目を向けることを心掛けています。
日本オリンピック強化委員会スタッフ、日本陸上競技連盟科学委員会の委員としての役割について教えてください。
髙橋 日本陸上競技界の国際競技力向上や普及・育成を目的とした科学的サポートを担当しています。種目は短距離です。具体的には、オリンピックや世界陸上といった国際大会、また日本代表クラスの選手が出場する国内競技会に帯同し、レース分析を行っています。その結果を選手やコーチにフィードバックし、パフォーマンス向上や強化方針の検討に役立てています。
卒業生として感じている本学の魅力は?
髙橋 競技や研究に本気で打ち込める環境が、高いレベルで整っている点だと思います。充実した競技施設や研究環境の中で、自分の限界に挑戦できるだけでなく、その過程を科学的に学ぶことができます。さらに、そうした環境の中で教員をはじめとする資格取得を目指せる点も大きな魅力だと思います。
後輩たちへアドバイスがあれば。
髙橋 鹿屋体育大学には、競技にも学業にも本気で打ち込める環境があります。ただし、その時間をどう使うかは自分次第です。学生時代はうまくいくことばかりではなく、悩んだり立ち止まったりすることもあると思います。しかし、うまくいかない経験や遠回りだと感じる時間こそが、後にだれかを支える力になります。目の前のことに誠実に向き合いながら、自分なりの問いを持つ機会をぜひどこかでつくってください。鹿屋での学びと経験が、皆さんの将来を支える大きな力になることを願っています。
最後にご自身の今後の夢、抱負について聞かせてください。
髙橋 世間で広く使われる運動能力の評価指標や健康習慣を新規で考案・作成し、幅広い世代に役立つ形で社会に還元できたらと思っています。
※所属およびインタビュー内容は、取材当時のものです。