株式会社JTB広島支店営業第三課営業担当課長
田中 顕治さん

たなか・けんじ。1982(昭和57)年6月27日、山口県光市生まれ。山口県立光高等学校から、鹿屋体育大学体育学部体育・スポーツ課程に進学。2005年3月卒業。同年4月、旅行業界国内トップの株式会社JTB(入社時は株式会社ジェイティービー)に入社し、山口県の徳山支店に配属される。2019年2月~広島支店営業第三課営業担当課長。
待ち合わせ場所に指定されたのは、旧広島市民球場跡地に昨年誕生した「ひろしまゲートパーク」内のカフェ。広島駅から市電に乗って現地に到着して、いま広島で話題のスポットに触れてほしいという、旅行会社の営業マンらしい田中顕治さんの気配りであったことに気が付いた。取材のきっかけは、3月まで鹿児島観光コンベンション協会に出向していたJTBの上司からの推薦。柔軟性とコミュニケーション能力を備え、フットワークも軽く、テキパキと仕事をこなす姿が未来の業界のカギを握る逸材として目に留まったのだと思う。卒業20周年の節目に声をかけてもらったことへの謝辞を述べる表情から、誠実でさわやかな人柄が伝わってきた。
なぜ、鹿屋体育大学へ?
田中 小学校3年生からサッカーを始めました。当時の男の子はみんな地元のスポーツ少年団でサッカーをしていた時代で、山口大学教育学部附属光小学校から同光中学校に進学したのですが、保護者の支援もあって私が入学する年から中学校にサッカー部ができました。高校は地元の県立光高校に進学、高校入学時はサッカー同好会だったのが、皆で頑張りサッカー部に昇格させてもらう経験もしました。そんな環境でサッカーを続けてきたので、より専門的なサッカーの指導を受けてみたいと強く思ったのです。両親に大学の下見に連れて行ってもらったとき、天然芝グラウンドが眼前に広がり、こんな環境でサッカーができたら最高だと思い進学を決めました。
就職先にJTBを選んだのは?
田中 小さな頃から両親にいろいろな所へ連れて行ってもらいました。好きな旅行を仕事にできたらいいなと単純に思いました。学生時代には大学間交流で韓国体育大学校を訪れたり、一人で卒業旅行と称してオーストラリアの各都市を訪れたりしました。教員になるという選択肢もありましたが、当時は体育教員採用数が非常に少なかったことも影響し断念。早く社会に出たいという思いもありました。また、業界を代表する会社に身を置いて「なぜ業界のトップになれたのか」ということを確かめたいという興味もありました。
就職活動はいつから?
田中 大学3年生の終わりぐらいです。周りはまだ部活動に一生懸命で、就職活動をしている仲間は少なかったと記憶しています。同期にはプロになった仲間もいましたが、私はトップの選手ではなかったので、目標としているものが違ったというのもあったと思います。当時の就活は今の環境とは違い、直接会場に足を運ぶしかありませんでした。福岡辺りまでは本当によく行っていました。さまざまな業種の会社にも挑戦しましたが、最終的にJTBを選びました。
コロナ禍において、旅行会社は大変だったのでは?
田中 広島に転勤になって2年目に、コロナが流行しました。人と人が会うことがNGなので、仕事の中心である旅行関係の仕事はほぼ無くなりました。しかし、行政から委託された事業運営などを中心に忙しい日々を送っていました。
旅行人口が戻りつつあります。今後の目標は?
田中 私は“旅の力”をより多くの人に経験・体験してもらいたいと思っています。旅行という形のないものだからこそ、想像を超える経験・体験ができると思っています。また、形がないものを扱っているということは、お客様は旅行前に価値が分からないことに対してお金を払ってくださる訳です。任せていただくためには、お客様との「信頼関係」が何より大切です。今後も引き続き、誠意ある対応を大切にしていきたいと思っています。後輩にもお客様との信頼関係を築いて、いろいろな経験をしてほしいと願っています。旅行に行く前に、現地で何をしようかと思いを巡らせる時間も素敵ですよね。これからも、このワクワク感を忘れずに仕事をしていきたいと思います。
鹿屋体育大学に行ってよかったことは?
田中 なんと言っても一番は妻と出会えたことです(笑)。サッカー部ではプロチームとの試合などを通じて、「本物」を体感することができました。一流の人はポジション取りや身体の向きなど細部までこだわっていることを肌で感じられたこと、一流のものに実際に触れることが人生においてとても大事なことだと学生時代に気づかせてもらえたのは、鹿屋体育大学で経験できた大きな財産です。大学ホームページには卒業生向けサイトもありますが、この大学の規模だからこそできることってあると思うので、卒業生同士が先輩・後輩の枠を超えてもっと繋がることができる環境が整えばいいなと思っています。
最後に、後輩たちにメッセージをお願いします。
田中 鹿屋体育大学は、運動・学問に打ち込める環境が整っています。一方で、単科大学ということもあり、さまざまな刺激を受ける機会が総合大学に比べると少ないかもしれません。いろいろな考えや環境に触れることは、今後の人生において必ず役に立ちます。各部活にもスポンサーがつき、私の時代に比べたら地域社会や社会人と触れ合う機会も多いと思うので、積極的に活動してみてください。限られた大学生活という二度と戻らない大切な時間の中で、夢や目標に向かって1つでも2つでも多くのことにチャレンジしてほしいです。
※所属およびインタビュー内容は、取材当時のものです。