日本で唯一の国立体育大学

国立大学法人 鹿屋体育大学 KANOYA

健康運動指導士&ヘルスケアトレーナー

やまおく体操考案者

山奥 慎一さん

やまおく・しんいち。1969(昭和44)年4月16日、香川県高松市生まれ。高松市立高松第一高等学校から、鹿屋体育大学に入学。1992年3月卒業。1994年3月、同大学院修士課程修了。中学高校保健体育教員免許取得。スポーツ関連会社、病院勤務を経て、2001年有限会社オフィスやまおくを設立し、代表取締役に就任。トライリングス(株)代表取締役。讃岐スポーツ企画(株)代表取締役。ジャパンクラップス(株)取締役。健康運動指導士、ヘルスケアトレーナー、衛生管理士。

やまおく体操とは反射を伴う動作様式で、筋肉や関節を動かすことにより脳や神経へ刺激を与え、その刺激によって脳からの指令が活性化・正常化され、身体のバランスを取り戻すトレーニングのこと。利用者は「身体の調子がよくなって、神様みたいな存在」と、山奥慎一さんについて話す。超高齢者社会に向けて世の中の役に立つ仕事がしたいと、2001年に設立したジムの会員は1年で300人になった。地道に努力を重ね、夢を現実に変えていく底力があるのだと思う。「水泳部の先輩からは飄々としていると叱られる毎日でした」と振り返るが、学生時代から“大物”だったことが伝わってくるエピソードである。香川から全国、そして世界へ。超高齢者時代に向けて、救世者的存在と言える。。

やまおく体操認定講師は全国にいて、やまおくジムは50店舗あるそうですが、やまおく体操の特徴は?

山奥 一見普通の体操に見えるのですが、普通の体操より運動した後に筋肉、神経、血管が緩むんです。その気持ちの良さというか、爽快感が普通の体操とはちょっと異なります。

全部で300種類の体操があるそうですね。

山奥 学生時代に1日1コと決めて、手描きのイラスト入りで1年間かけて作った300の体操を30種類に絞り、今では6種類を組み合わせて使っています

小学校の先生に水泳の才能を見出され、小学3年生から高校3年生まで朝夕スイミングスクールに通って期待の選手だったそうですが。

山奥 小学生の頃は父の仕事の関係で室内プール練習場から離れた所に住んでいたので、午前5時から練習するために毎日3時過ぎには起きて練習に通っていました。最初の指導者の先生の遺言もあり、引き継いだ先生が自分の人生を賭けて指導してくださっているということに気づいた中2の夏以降、自分を追い込める性格に変わり、中3で全国3位になり、高校時代は国体400m個人メドレー3位の結果を残すことができました。水泳を続けられるようにと、もともと持っていたプールの近くの土地に家を建て、勉強と水泳の両立ができるように環境を整えてくれた両親に感謝しています。

高松の進学校・髙松第一高等学校から鹿屋体育大学に進学したのは?

山奥 現在香川県で教員をしている1期生の先輩が、自分の高校の後輩に体育大の学校推薦型選抜の入学願書を渡すために沖縄国体にいらしたのです。その先輩が帰り際に「あなたにもぜひ受験してほしい」と声をかけてくださいました。実は子どもの頃に、元オリンピアンで金メダリストの田口信教先生が講演会で香川県にいらしたことがあって、そのときに「平泳ぎがものすごくうまいね」と褒められた思い出があったんです。鹿屋体育大学に行って、田口先生に見てもらって将来はオリンピアンになりたいという夢もあって受験しました。

実際に進学してみていかがでしたか。

山奥 田口先生に子どもの頃「必ず日本一になれるから頑張りなさい」と言われた話をしたところ、「覚えていない」と言われて(笑)。「確かに君は泳ぎはうまいけれど、手と足が小さいからオリンピック選手は無理」とあっさり言われてしまいました。以来、田口先生からは水泳を教わることはなくて、ビジネスについて学ばせてもらいました。

大学院に進学しようと思ったのは?

山奥 バブル期だったので、大手企業から内定をいくつももらえた時代で、急いで就職する必要がなかったんです。修士論文は齊藤和人先生の指導の下「運動が心臓に与える影響」というタイトルで書きました。大学院を出たらもっといいところに就職できるのではと思っていたのですが、2年後は世の中が氷河期に変わっていましたね。

フィットネスで食べていくのは無理だと周りから反対される中、友人200人から2万円借りたお金を資金に、最初の会社を設立したと聞きました。

山奥 友人たちは「友だちに金を貸してくれと言うようになったら、終わり。この2万円で縁切った」と思ったそうです。1年後には利益が出たので、3万円持って返しに行ったらみんなびっくりしていました。。

水泳部に讃岐うどんを送ってもらうなど、今もお世話になっています。。

山奥 スタッフに香川県から鹿屋の水泳部に行っている学生がいることを教えてもらって、田口先生退官後、疎遠になってしまっていたことを申し訳なく思いました。後輩たちが頑張っていると聞いて、とてもうれしいです。

山奥さんが考える鹿屋体育大学の魅力は?

山奥 知識や経験豊富な先生がそろっており、誘惑が少ない場所にあるので学問やスポーツに没頭できる環境が整っていることだと思います。昔は運動でメシは食えないと思われていたかもしれませんが、極めさえすればビジネスに変えるチャンスはいっぱいあります。アンテナを張って毎日を過ごせば多くの気づきがある大学だと思いますので、鹿屋でこそ、文武両道を実現させてほしいですね。

健康効果をもたらす“やまおくシューズ”も開発するなど、ビジネスの才能が止まりません。カリスマトレーナーと言われてきた山奥さんの、今後の夢は?

山奥 あきらめない気持ちを大切に、世の中の人の役に立つ仕事をしたいと思ったときの原点を忘れず、今後も『健康スポーツに関する何でも屋! 山奥慎一のやまおくブランド』を全国に広めていけたらと思います。       

(取材・文/西 みやび)

※所属およびインタビュー内容は、取材当時のものです。