日本で唯一の国立体育大学

国立大学法人 鹿屋体育大学 KANOYA

安田修教授の最終講義が行われました!

2025/02/14

令和7年2月5日、本学大学院棟3階大講義室で安田修教授(スポーツ生命科学系、保健管理センター)の最終講義が対面講義で行われ、教職員ら約60人が参加しました。安田教授は東京大学薬学部卒業後、旭化成工業ライフサイエンス総合研究所に就職するも一念発起して大阪大学医学部に編入学、大学院博士課程修了後に米国ノースカロライナ大学に3年間留学した異色の経歴を持っています。最終講義のタイトルは「災害と健康」。安田教授が本学に着任したのが2016年4月1日、それから間もなくの4月14日に熊本地震が発生し、忘れられない出来事として記憶に残っているため、このタイトルを最終講義のテーマに選んだと話しました。

日本老年医学会の代議員を務める安田教授は、震災後、温石病院や熊本大学医学部附属病院など熊本の関連施設の調査を依頼され、車で長時間かけて現地に向かった体験から、スクリーンには被災に遭った当時の様子が写真で映し出されました。また「防げた死」として別名「エコノミークラス症候群」と呼ばれる肺血栓塞栓症(はいけっせんそくせんしょう)について触れ、避難所に簡易ベッドを用意することで発症率が減少した事例などの紹介がありました。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関する本学の振り返りでは、学内最初の発症や学内でPCR検査ができるようになったときに記者会見を開いたこと、鹿児島県内と鹿屋体育大学の教職員・学内学外競技従事者の感染率が具体的数字で示され、個人的には本学の感染対策は成功したと言っていいと思っている、といった私見も述べられました。

そのほか、学徒出陣で第二次世界大戦終戦後にシベリア抑留されて強制労働を強いられるなか赤痢にかかり、次々に周りの兵隊たちが死んでいくのを目の当たりにしながら奇跡的な生還を果たしたお父様の話、学生定期健康診断の話題など講義の内容は多岐に渡りました。

最後に今日まで所属した組織一覧がスクリーンに映し出され「いちばん名残惜しくて思い入れがあるのはココ。その理由はやはり“人”だと思います。スポーツ生命科学系の先生方はじめ多くの先生方、職員のみなさん、保健管理センターの皆さまに助けていただきました。この場を借りてお礼を申し上げます。身長だけは180㌢と高いけれど運動は苦手で、水泳、球技、格闘技、何をやってもダメでしたが、鹿屋体育大学に来てよかったと思います」との謝辞で締めくくられました。

会場からはいくつかの質問があり、「なぜ薬学部から医学部へ?」の質問に「大学院の試験に落ちたのが悔しくて、合格するかしないか分からず不安ではあったけれど、もう一度今度は医学部にトライしたいと思った。好きな言葉は“人間万事塞翁が馬”です」と中国の古い寓話に由来している、一見不幸に思える出来事が幸運につながることもあればその逆もあるということわざを引用しての回答が印象的でした。

金久博昭学長からは「すごくまじめで丁寧な先生という印象がありましたが、薬学部から医学部への転身など、強い信念を持っておられる方なのだときょう改めて感じました。パンデミックの時はしっかりと対応していただきました。熊本地震の話を伺い、南海トラフ巨大地震が発生した時の緊急時にどう対応するかなどの重要性を感じました。今後もアドバイスをいただくことはあると思いますが、まずはお疲れ様でした。ありがとうございました」と挨拶がありました。

最後に花束と記念品贈呈があり、記念写真を撮影して、安田教授の人柄のように温かくて穏やかな空気に包まれて最終講義はお開きとなりました。

最終講義の様子

最終講義のテーマは「災害と健康」
教室の様子
花束贈呈
スポーツ生命科学系主任の髙井洋平教授㊧と同系の廣津匡隆准教授㊨と一緒に
最後に記念写真