学長メッセージ
令和8年1月 年頭の挨拶 "スポーツで未来を拓く"人材の獲得と養成に向けて

旧年中は鹿屋体育大学をご支援いただき、誠にありがとうございました。本年もよろしくお願いいたします。
令和7年は、本学の教育・研究の今後に関わる重要な出来事が2つ重なりました。1つは入学者選抜に関することです。本学ホームページ上で「入学者選抜に係る告知(令和7年4月30日)」をお伝えしましたが、令和9年度入学者選抜(令和8年度実施)を新たな方法で実施します。そして、もう1つは、「スポーツ基本法及びスポーツにおけるドーピングの防止活動の推進に関する法律の一部を改正する法律」の成立(令和7年6月13日)です。近年のスポーツを取り巻く社会環境の変化、並びにスポーツを通じた社会課題の解決に向けた期待の高まりなどが今回の改正の背景になっています。
これら2つは、公表の年度が偶然重なったにすぎません。しかし、本学の入学者選抜方法の変更の主なねらいの1つに、スポーツ基本計画において謳われている、スポーツを「ささえる」人材の養成があります。一方で、スポーツ基本法及びそれに基づくスポーツ基本計画で示される国の様々な施策は、体育・スポーツ系の大学における教育・研究の内容に深く関わるといっても過言ではありません。そこで、新年のご挨拶として、まず入学者選抜方法の変更について、スポーツ基本法の改正との関連で改めて触れ、本学における教育・研究の今後の方向性について述べさせていただきます。
平成23年のスポーツ基本法の公布以降、スポーツに対しては、「する」だけではなく「みる」「ささえる」といった言葉で代表される多様な関わり方が認識されるようになってきました。また、昨年6月に成立したスポーツ基本法の改正法においては、それらに「集まる」「つながる」が加わりました。本学に限らず体育・スポーツ系大学の入学者選抜では、従来、「実技」すなわち「する」に関連する能力の評価が中心をなしてきました。しかし、そのような選抜方法では、「する」以外の要素に関連する資質を持つ人材の選抜は困難です。そこで本学は、スポーツ総合課程の入試の多様化を図り、スポーツを「ささえる」人材の養成に資する教育プログラムを展開し、"スポーツを支えることで未来を切り拓く人材"の獲得と養成を目指すこととしました。
その方策として、スポーツ総合課程に従来の競技力重視型に加えて、スポーツを「ささえる」意欲・能力を重視する新たな総合型選抜を導入します。さらに、一般選抜においても従来の選抜方法に加え、学力をより重視した選抜方法も新たに設定します。このような「ささえる」人材の育成を視野に入れた入試選抜の変更は、スポーツを「する」、すなわち"スポーツ実践"の領域と、「集まる」「つながる」といった、いわば"社会的現象"の領域との柔軟な双方向の連携を可能にする資質を持つ人材の獲得を目的とするものです。それは同時に今回のスポーツ基本法の改正において謳われている、"スポーツを通じて社会的課題の解決"に貢献できる人材の養成につながるものであるといえます。
一方、今回のスポーツ基本法の改正では、「スポーツに関する諸科学の例示」において、力学を削除し、新たに7つの学問領域が追加され「国は、医学、歯学、薬学、生理学、栄養学、法学、経済学、社会学、心理学、倫理学、教育学等のスポーツに関する諸科学を総合して実際的及び基礎的な研究を推進し、これらの研究の成果を活用してスポーツに関する施策の効果的な推進を図る。」と記されています。すなわち、スポーツ科学に携わる者としては、より総合科学的アプローチが求められていることになります。鹿屋体育大学は、これまでにもスポーツ・武道実践科学系、スポーツ生命科学系及びスポーツ人文・応用社会科学系の3領域からなる教員組織を構成することで、スポーツ、武道、体育及び健康づくりに関する教育・研究の充実を図ってきました。その体制は、これまで以上に重視されるであろう、総合科学的アプローチに基づく教育・研究を推進するうえで、十分に機能するものであると確信しています。
令和8年度は、新たな入試選抜の実施に加え、第4期中期目標・中期計画の達成状況に関する中間報告をまとめなくてはなりません。教職員一同力を合わせ、令和8年度の各課題を確実にクリアしていく所存です。本年も、ご指導、ご支援をどうぞよろしくお願いいたします。
令和8年1月
国立大学法人 鹿屋体育大学長
金久 博昭